描かれているのは岸田劉生の妻・蓁(しげる)の左手で、薬指には指輪がはめられています。
劉生はかつて、「手は人間の肢体の中でも最も線の交響の微妙な部分である。其処には無数の美くしい線が秘くされてある。力のある画家はその力その美を捕へる。」(*1)と綴りました。
本作以外の人物画でも、手に植物を持たせたり、胸の前に手を置いたりと様々な形で手の表情を描いており、このモチーフに寄せた高い関心が窺えます。(金澤)
(*1)「美術上の婦人」『女性改造』1-1、1922年
2020/10/03
描かれているのは岸田劉生の妻・蓁(しげる)の左手で、薬指には指輪がはめられています。
劉生はかつて、「手は人間の肢体の中でも最も線の交響の微妙な部分である。其処には無数の美くしい線が秘くされてある。力のある画家はその力その美を捕へる。」(*1)と綴りました。
本作以外の人物画でも、手に植物を持たせたり、胸の前に手を置いたりと様々な形で手の表情を描いており、このモチーフに寄せた高い関心が窺えます。(金澤)
(*1)「美術上の婦人」『女性改造』1-1、1922年