似鳥美術館4階の日本画のコーナーでは、随時作品を入れ替え、収蔵作品をご紹介しております。
今日は、最近出品した作品の中から、当館初出品となる作品をご紹介します。
円山 応挙
《卓文君(たくぶんくん)》
1787(天明7)年
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円山応挙は、江戸時代中期から後期にかけて、京都画壇で人気を博した絵師。日本の装飾的な画法に西洋の自然主義的な画法や中国の写実手法などを折衷させて、明快で写実的な画風を確立しました。
卓文君は、中国漢代の女性。若くして未亡人となり、大富豪の父、卓王孫のもとに身を寄せていました。あるとき、文人の司馬相如と出会い駆け落ちしますが、困窮して酒場を開きます。これを恥じた王孫は、しぶしぶ文君に財産を分け与えました。その後、相如は武帝に重用され、宮廷文人として活躍したといいます。
本作は、生活のため酒場を開いた場面を題材としているのでしょう。酒器を洗う文君の姿がしなやかな線で描かれています。その柔らかな表情や清明な色彩からは、はつらつと働く様子が感じられます。(磯崎)