いよいよ師走。
今週、似鳥美術館の展示作品を一部入れ替え、冬の風景を描いた作品や、新年に向けた作品などを出品いたしました。
今日はそのなかから、4階で展示中の川合玉堂の作品をご紹介します。
川合玉堂 (1873~1957)
《吹雪》1948
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愛知県に生まれ、はじめ京都で四条派を、のち東京で橋本雅邦に狩野派の画風を学んだ玉堂は、両者の描法を生かし、日本の風景とそこに暮らす人々の姿を情緒豊かに描きました。
本作は、水辺の村の雪景を墨の濃淡で巧みにあらわした作品。吹き荒れる風雪は刷毛で刷いた淡墨で、降り積もった雪は地を生かした塗り残しで表現されています。
画面左下には、小舟の上で肩をすぼめる人物と、そこに歩み寄る頬かむりをした人物が見えます。この荒天に漁をあきらめたのでしょうか。(磯崎)