今週も似鳥美術館4階に展示中の作品の中から、上村松園の作品をご紹介します。
上村松園
《上臈之図(じょうろうのず)》
1910(明治43)年頃
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「上臈」とは上流の女性や身分の高い女官のこと。若い女性を敬っていうこともあります。
ふと傘を下ろして顔を上げ、夢見るような表情を浮かべた女性。はらはらと舞い散る花びらが視線の先に爛漫に咲き誇る桜があることを暗示しています。
傾けられた傘によって下半身が隠されていることで、鑑賞者の視線は女性の顔へと導かれます。甘美で優しげな表情は、この時代の松園に特徴的な表現です。(磯崎)