小樽芸術村の中庭では、ヤマボウシやツタの葉が赤く染まり、雪虫が飛び始めました。
今日は、似鳥美術館4階で展示中の作品をご紹介します。
上村松園《秋のよそおひ》
制作年不詳
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画面左上にのぞく赤く染まった紅葉の枝先や、髪に飾られた紅葉のかんざしが、深まる秋を感じさせる作品。画面のやや左寄りに女性を配した構図、右へ振り向くポーズ、ふわりとひるがえる袂(たもと)が画面に動きを与えています。白地に白い絵の具で模様が描き込まれた襦袢(じゅばん)、水引の一本まで丁寧に描かれた髷(まげ)などの細やかな描写からは、「女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい」※と述べた画家の、「よそおい」への関心の高さをうかがうことができます。(磯崎)
※上村松園『青眉抄・青眉抄その後』求龍堂 2010