小樽芸術村 OTARU ART BASE

お知らせ

2022/03/26

【今週の1点】吉田博《瀬戸内海集第二 鞆之港》

先週の川瀬巴水《小樽之波止場》に引き続き、
昭和初期の港の風景を描いた木版画をご紹介します。


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吉田博《瀬戸内海集第二 鞆之港》
1930(昭和5)年

川瀬巴水と同時代に、同じ風景版画の分野で活躍した吉田博。
本作は、かつて瀬戸内海随一の要港として栄えた広島県福山市の鞆の浦(とものうら)に取材した作品です。画面の中央付近には、江戸時代から現存する石造の常夜灯や雁木(がんぎ/干潮満潮を問わず船が着けるよう工夫された石段)など、鞆の浦のシンボルともいえる港湾施設が詳細に描かれています。
停泊する船や街並み、そしてそれらが映った水面の緻密な描写は圧巻。かつて「水を描かせたら吉田博の右に出る者はいない」*とまで評された画家のこだわりがうかがえます。
ちなみに鞆の浦は江戸時代、北前船の商船が出入りする港でした。こんなところにも、先週の川瀬巴水《小樽之波止場》とのつながりをみることができます。(金澤)

*出典:安永幸一監修『吉田博画文集 われ山の美とともにあり』

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