今週は、旧三井銀行小樽支店で開催中の企画展「斎藤清 版画展」出品作の中から、斎藤自身が「この絵は好きなんだ」と語った作品をご紹介いたします。
斎藤清《会津の冬(71) 若松》1987年画像が表示されない方はこちら
「画は構図が生命であり、ただ故郷であるから描くのとは意味が違うのですが、雪におおわれ余計なものが取り去られ単純化された中に自然の美しさをかんじるのです。郷に帰り人の心に触れる喜びも重なり、会津の冬は描き続けたいと思います。」斎藤清(*)
斎藤清は、約60年間の画業を通じて「会津の冬」という主題に取り組みました。本作は、長年暮らした鎌倉から、故郷会津へ移り住んだ年の冬に描かれた作品。つららの下がるモノトーンの軒先に暖簾の青が鮮やかに映え、深い雪に覆われた静寂の中にも人々のあたたかな営みを感じさせます。
*斎藤清版画集「会津の冬」1982 講談社(「斎藤清の世界 解説書」1984 あすか書房)