小樽芸術村 OTARU ART BASE

お知らせ

2021/09/25

【今週の1点】斎藤清《柿の会津(37)》

まもなく10月。小樽芸術村から望む山々も色づき始めました。
今週は、旧三井銀行小樽支店で開催中の「斎藤清 版画展」出品作の中から、これからの季節にぴったりの作品をご紹介します。

斎藤清《柿の会津(37)》1994
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  《柿の会津》は、「枝が複雑に曲がりくねっていておもしろい」(註1)と、1970年代初頭から晩年まで継続して取り組んだ題材のひとつ。本作でも、たわわに実った柿の木が手前に大きく配されています。その下を、頬かむりの老人が歩いていきます。軒先には洗濯物。描き出された農村の穏やかな日常は、幼くして故郷を離れて以来、つねに「エトランゼとしての感覚」(註2)を抱えていた画家の、故郷に帰った安堵を映し出しているかのようです。

企画展「斎藤清 版画展」の出品作をご紹介するのは、今回が最後となります。展覧会は、1011日まで開催しております。状況が許せば、ぜひ会場で作品をご覧ください。

註1「斎藤清の世界・自作を語る」毎日新聞(『斎藤清 Collection 2nd. 1963-1979』斎藤清美術館 2017)
註2「私の半生」1987 福島民友新聞社

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