今週は、ただいま開催中の浮世絵コレクション展 前期「人を描く~美人画、役者絵を中心に」に展示中の作品の中から、
当館初公開となる東洲斎写楽《二代目坂東三津五郎の石井源蔵(いしいげんぞう)》をご紹介します。
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寛政6年(1794)5月に都座で上演された歌舞伎「花菖蒲文禄曽我(はなあやめぶんろくそが)」に取材した作品です。
父・石井兵衛(いしいひょうえ)を殺した藤川水右衛門(ふじかわみずえもん)を討とうとする、長男の源蔵が描かれています。白鉢巻を締め、たすきを掛けた源蔵は、水右衛門と向き合い、今まさに刀を抜かんとしています。刀を握る手首のやや不自然なひねりが、場面の緊迫感をより強めます。前々回ご紹介した《三代目坂田半五郎の藤川水右衛門》と対になる作品です。(金澤)