小樽芸術村 OTARU ART BASE

お知らせ

2021/07/31

【今週の1点】歌川広重《両国花火》(「名所江戸百景」より)

今週も、開催中の企画展「歌川広重 名所江戸百景」の出品作の中から、この季節にぴったりの一点をご紹介いたします。



歌川広重《両国花火》
安政5(1858)年
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夜空に花火が打ち上げられたところを描いた作品です。両国橋は見物客でいっぱいで、川にもたくさんの舟が浮かんでいます。川面は花火の光に照らされ、舟や見物客は一様にシルエットで表現されています。
花火の打ち上げは両国橋上流を「玉屋(たまや)」が、下流を「鍵屋(かぎや)」が担当しました。版木の板目が出るよう強く圧をかけて摺る「板目摺り」により、黒一色の夜空でも単調にならず画面に奥行きが生み出されています。

ちなみに、似鳥美術館で現在開催中のトピック展「山下清特集」(詳しくはこちら)では、儚さと華やかさが精緻に表現された貼絵作品《長岡の花火》を展示中。花火の線には細長く捩じった「こより」が使われています。

残念ながら、長岡をはじめとする各地の花火大会は本年も中止となってしまっているようですが、今年は美術館で花火を楽しんでみてはいかがでしょうか。(山田)

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