今週は、開催中のトピック展「葛飾北斎特集」の出品作をご紹介します。
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葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(ふがくさんじゅうろっけい かながわおきなみうら)》
天保1年(1830)~天保5年(1834)頃
グレート・ウエーブ(The Great Wave)の名で世界的に親しまれている北斎の代表作です。国内では、2020年発行の新パスポートや、2024年に刷新予定の1000円札の裏面にも本図が採用されています。
題名にある「浪裏」の通り、せりあがった巨大な波の裏側をのぞき込むような構図をとっています。実際にこの絵のような巨大な波が発生したのかどうかは分かりませんが、北斎は本図を制作する30年ほど前から波の表現に関心を持ち、いくつもの作品を手掛けてきました。その集大成ともいえる本図において北斎が主眼としたのは、波の造形と、波と富士山を対比させる構図の面白さを追求することだったのかもしれません。(金澤)