モーリス・ユトリロ《モンマルトルへの道》1910年頃 画像が表示されない方はこちら
パリのモンマルトルに生まれたユトリロは、生涯、愛する故郷の街並みを描き続けました。モンマルトルは、パリを流れるセーヌ川の右岸に位置する丘で、サクレクール寺院をはじめ観光名所としても今では大人気スポット。街の中心テルトル広場にはイーゼルを構える画家たちも多く、芸術家街としても知られています。
しかし、ユトリロの描くモンマルトルはひと影もまばらな寂しい通りで、主役はひっそりと佇む家々の薄汚れた白壁。当時すでにパリ市民の行楽地だった賑わいよりも、静かな日常の顔を描いたところに、かえって街に対する愛着がにじみ出ています。(佐藤)