ルネ・ラリック(1860-1945) 《座る猫》1932年 画像が表示されない場合はこちら
ちょこんと座って前を見据える猫。丸めた背中は緩やかな弧(まさに猫背)を描き、その上にはどんな物音も聞き逃すまいと鋭く立てた耳。座っていても、いつでも動き出せる緊張感を秘めています。
ラリックはフランスの宝飾デザイナーでガラス工芸家。職人技を要し、大量生産が困難な19世紀末アール・ヌーヴォーのガラス工芸の弱点を克服し、型にガラスをプレスすることで質の高い作品を数多く生み出すことに成功しました。簡潔で力強いデザインの作品は、1920年代のアール・デコを代表するものとなります。
プレスとはいえ、毛並みの細かな表現も見てほしいポイントですが、さて、この愛らしい猫が見据えているものは…それは美術館の展示室でご確認を。(佐藤)