小樽芸術村 OTARU ART BASE

お知らせ

2021/04/03

【今週の1点】上村松園《桜可里図》

似鳥美術館4階で展示中の日本画の一部を春を題材とした作品に入れ替えました。
桜前線が猛スピードで北上中の今週は、花見を題材とした作品をご紹介します。


上村松園《桜可里図(さくらがりず)》
1936(昭和11)年頃
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松園円熟期の作品。画面右上にたくさんの花をつけた枝先がのぞいており、画面の外の満開の桜を想像させます。ふたりの女性は、着物に同じ紋があることから、親子と考えられます。華やかな振り袖を着た右の女性が娘で、帯を前に結んでいるのが母親です。

明治頃まで、嫁いで子を産んだ女性は鉄漿(おはぐろ)を染め、眉をそり落とす習慣がありました。本作の母親も、眉のそり跡が青々とした「青眉」に描かれています。松園は、随筆『青眉抄』のなかで、青眉の女性を描くときは「必ず記憶のなかの母の青眉を描いた」と述べています。本作にも、「人一倍美しい青眉」をしていたという大切な母の記憶が宿されています。(磯崎)

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