いよいよ4月が始まりました。
今週は「桜」が描かれた春の作品をご紹介します。
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吉田博《櫻八題 鐘楼》
昭和10年(1935)
先週に引き続き、吉田博の木版画です。
「櫻八題」と題された、日本各地の桜の風景に取材した全8点のシリーズのうちの1点で、
東京の本郷にある吉祥寺の鐘楼を描いています。
満開の桜とともに画面を特徴づけているのは、地面に広がる水たまりの描写。
鐘楼や、子供を背負う女性たちなど、水面に映る影が非常に写実的に捉えられており、
近くにある桜と遠くにある桜の映り方の違いまでもが細やかに描き分けられています。
桜を主題としたシリーズではありますが、だからこそ余計に、博の水の描写への強いこだわりが感じられます。(金澤)