旧三井銀行小樽支店にて開催中の企画展「小磯良平のスケッチブック」の出品作をご紹介します。

画像が表示されない方はこちら
小磯良平《「晩秋」(丹羽文雄・著)第9回「式」挿絵の下絵》1967(昭和42)年
本作は、「週刊朝日」という雑誌で連載された小説「晩秋」(丹羽文雄・著)の挿絵のために小磯良平が描いた下絵です。
「晩秋」は、もつれあう男女の色恋を情感豊かに書き上げた長編小説で、連載中の挿絵全60回分を小磯が担当しました。
この挿絵は、登場人物である帯子(画面中央)の結婚式の準備の場面を描いたもので、該当する小説の箇所は以下であると思われます。
“新婦側の控室で、帯子は美容師の手によって長襦袢を着せられた。姿見にうつる自分のすがたをみていた。かつらの高島田が大きすぎた。誂えもののかつらが合わないはずはないのだが、長襦袢というからだつきとうまく調和がとれないようであった。そばで、母の泰子がながめていた。”(1967(昭和42)年3月3日週刊朝日掲載)
今回の企画展ではこのように、挿絵に相当する場面の小説本文を抜粋して、パネルで紹介しています。ぜひ作品とあわせてお楽しみください。(金澤)