大正から昭和にかけて盛んに制作され、国内外で一大ムーブメントを巻き起こした「新版画」。
その代表的な絵師である川瀬巴水が描いた小樽の風景版画《小樽之波止場》が、ついに当館に収蔵されました。
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川瀬巴水《日本風景集 第一輯 東日本篇 小樽之波止場》
1933(昭和8)年
本作は、川瀬巴水が実際に小樽を訪れて描いたスケッチを元に制作された木版画です。
新版画は、絵師・彫師・摺師の分業によって制作されるもので、
絵師である巴水は全国各地の旅先で風景をスケッチしては拠点の東京へ持ち帰り、
版元と協同して数々の風景版画を世に送り出し続けました。
記録によると、巴水が小樽を訪れたのは1932(昭和7)年10月1日。
描かれているのは現在の小樽市港町の観光船乗り場の辺りの風景で、
当時の写真には、巴水が描いたものとそっくりな桟橋が写っています。
残念ながら現在この桟橋は残っていませんが、
巴水の目を通して在りし日の小樽港の情景を楽しむことができる貴重な作品です。
本作をみなさまにご覧いただけるよう、ただいま企画展の準備を進めております。
ぜひご期待ください!(金澤)