今週は、旧三井銀行小樽支店で開催中の展覧会「斎藤清 版画展」に出品中の作品のなかから、1970年代に描かれた作品をご紹介いたします。
斎藤清《目(13)》1976年
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齋藤清は、《目》や《凝視》のタイトルで、猫を題材としたチャーミングな作品をいくつも制作しています。当然猫が好きなのだろうと斎藤に問うと、こんな答えが返ってきたそうです。
「オレは猫はあまり好きでネエ。
猫を見ていると、いろんな形に変化してくれる。それがおもしれエからかいているんだ」*
造形的な関心から選ばれた、猫という題材。その特質であるしなやかな身体や強いまなざしが、洗練されたかたちと色に置き換えられて、画面に再構成されています。
一列に並びじっとこちらを見つめる猫たちのとりどりの姿勢や目、板目模様の猫のポーズなどからは、斎藤のおおらかなユーモアも感じられます。(磯崎)
* 早川博明「斎藤清の画業:独創の源流」(『造形の詩 斎藤清展-伝統美とモダニズムの構図-』1999毎日新聞社)