今週は、開催中のトピック展「福よ来い!吉祥のかたち」に関連して、
似鳥美術館4階で展示中の吉祥画をご紹介します。
谷文晁(1763~1841)
《孔雀図》制作年不詳 画像が表示されない方はこちら
谷文晁は、江戸時代後期の関東画壇で中心的役割を担った絵師。松平定信や木村兼葭堂など当代一流の文化人たちと親しく交わり、渡辺崋山ら優れた門人にも恵まれました。
《孔雀図》は、息子文二(1812~1850)の《雁図》を表裏に配した衝立で、仙台青葉城に伝わった伊達家の旧蔵品です。金地の大画面に吉祥のシンボルである雌雄の孔雀と富貴を象徴する紅白の牡丹という縁起のよい題材をとり合わせて描いています。同様の主題は繰り返し描かれており、本作の雄の孔雀の姿態は、群馬県の浄運寺(群馬県立歴史博物館寄託)の《孔雀牡丹図》とほぼ同じであることが指摘されています。(磯崎)