小出楢重は、大阪生まれの洋画家。
代表作《Nの家族》(大原美術館蔵、重要文化財)で31歳の遅いデビューを果たし、そこから約11年間の短い画家人生の中で、静物画や人物画、特に晩年は裸婦像に優れた作品を残しました。
1926年に制作された《ばらの花》は、生命感あふれる薔薇の花々が、楢重らしい簡潔なフォルムと艶のある濃厚な色彩で描かれています。
実は本作は単独の作品ではなく、小出楢重《菊花》(大阪中之島美術館蔵)と2点で一対の「壁面装飾画」として、西宮市の瀟洒な洋風住宅に飾られていたそうです。
いつか、2点が揃って並んでいるところを見てみたいものです。(金澤)