前々回の記事に引き続き、
現在開催中の「《東海道五十三次》と《東海道五十三對》」展のみどころをご紹介します。
今回は、《東海道五十三對》よりこちらの作品。
波の向こうから姿を現す、黒い大きな影が目を引きます。
この作品は、大阪の名船頭「桑名屋徳蔵」がある日の航海中目の前に現れた海坊主と問答をし、退けたという有名な伝説を描いています。
大波に翻弄される船の上に立ち、海坊主と対峙しているのが徳蔵です。
本作は「桑名」の地名にかけて「桑名屋徳藏」の伝説を描いたのだとか。
作り手の遊び心も垣間見える一作です。
このように、《東海道五十三對》は各宿場にちなむ伝説や歴史上の人物、風俗などを主題とした揃物で、
思わず「何を描いているんだろう?」と気になってしまう作品ばかりです。
本展では全55図を一挙公開しております。この機会にぜひお越しください。(金澤)