料亭湯宿銀鱗荘の対局室に飾られている《雲龍図》のレプリカ
第36期竜王戦七番勝負第4局のゆくえを見守る龍の姿。対局が行われている室内の床の間に掛けられているのは、葛飾北斎が描いた《雲龍図》の高精細のレプリカです。最新の特許技術により、原作の絹の繊維や墨の濃淡まで忠実に再現しているレプリカは、原作の保護を目的として制作されました。原作の肉筆画は、現在、小樽芸術村 似鳥美術館4階展示室にて公開中です。
《雲龍図》は、北斎が数え86歳のときに描いた肉筆画。雲を呼び、身をくねらせて飛翔する龍の姿を画面いっぱいに描いた本作は、北斎が多数描いた龍図の中でも気迫あふれる1点です。濃淡の墨を重ね飛沫を散らし、棘のような鱗や鋭い爪など細部まで描写して、立体感と迫力を生み出しています。現在、似鳥美術館4階では、葛飾北斎の肉筆画《詠歌美人図》や、伊藤若冲《雪柳雄鶏図》など近世日本美術の名品も展示中。ぜひあわせてご覧ください。
[作品詳細]
作家 : 葛飾 北斎(かつしか ほくさい)
タイトル: 雲龍図(うんりゅうず)
制作年 : 弘化2年(1845)
技法材質: 絹本・着色
サイズ : 65.4×37.9㎝
落款 : 画狂老人卍筆 齢八十六歳
印章 : 「天狗」白文方印
葛飾 北斎(かつしか ほくさい) (宝暦10~嘉永2年(1760~1849))
江戸時代後期の浮世絵師。安政7年(1778)、当時の役者絵の第一人者勝川春章に入門。春朗と号し、役者絵や挿絵を制作。寛政6年(1794)勝川派を離れ、俵屋宗理を襲名。以後改号を繰りかえしながら、読本挿絵や絵手本などの版本、美人画などの肉筆画、《冨嶽三十六景》に代表される浮世絵版画など、晩年まで旺盛な制作意欲を失うことなく、ずば抜けた描写力と構成力によって常に新しい表現を探求した。
【本件に関するお問い合わせ先(受付時間:10:00~17:00)】
小樽芸術村 (担当:杉本・磯崎)
TEL: 0134-31-1037
Mail: nitoribzd@nitori.jp