令和4(2022)年2月9日、小樽芸術村「旧三井銀行小樽支店」が、正式に重要文化財に指定されました(詳しくはこちら)。
今週は、旧三井銀行小樽支店がもつ歴史的価値について紹介します。
昭和初期の銀行街をうつした絵葉書(画像が表示されない方はこちら)
明治13(1880)年4月に、三井銀行の小樽出張店が最初に出店した場所は、現在の南小樽駅の辺りです。当時は土場町(どばまち)といい、官庁や問屋が並ぶ小樽の経済的中心地でした。
しかし開設の翌年に付近一帯を焼き尽くす大火が起こった後、小樽の中心地は港へ向かって北方へと移動していきます。大火で類焼した三井銀行も同じく移転し、二代目の建物を港町に、三代目からは付近の将来的な発展を見越し現在の色内町に店を構えました。
三井銀行小樽支店の色内町への移転は、同地が銀行集積地になる契機となりました。今回の指定では、建築史的にも観光資源としても重要な小樽の銀行街が形成されるきっかけを作ったという点で、歴史的価値が高い建物であると評価されました。
来週は、こちらも歴史的価値の高い、設計図面についてご紹介します。(山田)