このたび、小樽芸術村に新たに３点の絵画作品、１点の木彫作品が収蔵されました。 今週からは、４週連続で１点ずつ新収蔵品をご紹介いたします。 画像が表示されない方はこちら 岸田劉生《弟辰弥の像》 1913年 油彩、キャンバス 劉生が自身の家族や友人・知人、自画像を盛んに描き、＜岸田の首狩り＞と称された時期の作品です。大胆な筆遣いながらも顔全体の細かな立体感が意識されており、ポスト印象派の影響を抜け出して緻密な写実に向かっていく過渡期にあたる作品であることがうかがえます。 本作で描かれているのは劉生の一つ下の弟、辰弥（たつや）。七男七女の兄弟の中で、年齢の近い劉生と辰弥は仲が良かったようで、劉生は最晩年にも辰弥の肖像画を残しています。（金澤）  

現在、似鳥美術館2階において、トピック展示「ミュシャ特集」を開催しております。 今週は、室内に飾ることを目的に制作された装飾パネルをご紹介します。 ミュシャ《昼の輝き》（連作《時の流れ》より） 1899年　リトグラフ、紙 画像が表示されない方はこちら 《時の流れ》は、朝の目覚めから夜の眠りまでを、それぞれの時間にふさわしい自然風景や光の加減、女性の表情や姿態でもって表現した４点の連作です。 本作《昼の輝き》は、昼間の明るい光の中、晴れやかな表情の女性が海を背景に描かれています。 ミュシャの作品では珍しく、女性の姿は画面内の枠の中に収まるように描かれ、格調高い印象が与えられています。（山田）

画像が表示されない方はこちら 令和3年11月19日（金）に開催された国の文化審議会において、公益財団法人似鳥文化財団が運営する小樽芸術村「旧三井銀行小樽支店」を重要文化財に指定するよう、文部科学大臣へ答申がありました。 旧三井銀行小樽支店は、かつての小樽の銀行街だった色内に建つ銀行建築です。戦前の日本で最良の建築事務所といわれた曾禰中條建築事務所の設計と、竹中工務店による施工で、昭和２（1927）年に完成し、小樽市最後の都市銀行として平成14（2002）年まで営業していました。建物完成から90年以上が経過した現在も良好な保存状態が維持されており、建設の経緯を示す資料や図面類も豊富に残されています。 平成29年には小樽市指定有形文化財（建造物）に指定され、同年９月より「小樽芸術村 旧三井銀行小樽支店」として、建物の内部を公開しております。小樽の経済的繁栄の証ともいわれる貴重な建築をぜひご覧ください。 ■　現在の開館状況はこちら ■　文化庁による発表はこちら ■　小樽市では3件目の重要文化財となる見込みです。小樽市のページ

現在、似鳥美術館2階において、トピック展示「ミュシャ特集」を開催しております。 今週は、展示作品の中で一番小さな一点をご紹介します。 ミュシャ《モエ・エ・シャンドンのメニュー》 1899年　リトグラフ、紙 画像が表示されない方はこちら 「モエ・エ・シャンドン」社は1743年創業のシャンパン製造会社です。本作は商品の納入先に販促物として配布されたメニュー表で、複数種類が制作されました。別なバージョンには空白部分を縁取り、さらに装飾的にデザインされたものもあります。 ミュシャの作品は、街角のポスターのほかにもメニュー表や菓子のパッケージなど、生活に根差した場所でも多く用いられ、庶民が芸術に触れる機会を作りました。（山田）

現在、似鳥美術館2階において、トピック展示「ミュシャ特集」を開催しております。 今週は、ミュシャ作品の中でも特に人気の高い一点をご紹介します。 ミュシャ《４つの花》（左からカーネーション、ユリ、アイリス、バラ） 1898年　リトグラフ、紙 画像が表示されない方はこちら ふんだんに配された花々と洗練された女性の組み合わせは「ミュシャ様式」と呼ばれ、アール・ヌーヴォーの代名詞ともなりました。 本作はその最たるもので、擬人化された花々がモチーフとなっています。 室内装飾用パネルとして制作されましたが、ポスターやカレンダー図案としても使われ、ミュシャの作品の中でも絶大な人気を誇りました。 トピック展示では、本連作を4点まとめて展示中です。匂い立つような花々と、女性の美しさをお楽しみください。（山田）

昨日より似鳥美術館2階において、トピック展示「ミュシャ特集」がはじまりました。 今週から4週にわたって、展示中の作品をご紹介します。 ミュシャ《セント・ルイス万国博覧会》 1904年　リトグラフ、紙 画像が表示されない方はこちら 1904年にアメリカのミズーリ州セント・ルイスにて開かれた万国博覧会宣伝のため、フランス国内向けに制作されたポスター。 白人の女性とアメリカの先住民インティアンが手を取り合っています。 下部の広告文からは、パリからセント・ルイスへは船で6日と汽車で１日を要すること、会場の広さは1900年に開催されたパリ万博の135ヘクタールの3倍以上の規模だったことがわかります。（山田）

トピック展「棟方志功特集」 小樽芸術村の収蔵作品を、似鳥美術館２階展示室の一角でご紹介する小さな展覧会「トピック展」。 今回は、日本を代表する板画家・棟方志功の作品をご紹介します。 棟方がこよなく愛した、ベートーヴェンの交響曲第９番第４楽章「歓喜の歌」を題材とした大作《歓喜頌》（左半双）をはじめ、当館初公開となる2点の作品を含む5点を展示しています。 ぜひ、旧三井銀行小樽支店で開催中の「斎藤清展」とあわせてご覧ください。 会期　８月23日（月）～11月３日（水・祝） 会場　小樽芸術村 似鳥美術館 ２階 開館時間　こちらでご確認ください 入場料　一般1,500円　学生1,000円　高校生700円　 ※　あわせて似鳥美術館内をすべてご覧いただけます ※　旧三井銀行小樽支店で開催中の「斎藤清 版画展」チケットご提示で、似鳥美術館の入館料（単館券・一般料金のみ）が100円引きになります

今週も、似鳥美術館地下１階「アールヌーヴォー・アールデコ　グラスギャラリー」で展示中の作品を紹介します。 ガレ《三匹の淡水魚》 1899～1900年 サリッシュール、アプリカシオン、グラヴュール 画像が表示されない方はこちら   水面から勢いよく顔を出す3匹の魚－チョウザメ、カワカマス、マス－を立体的に表現した作品。重厚な灰色の器体に装飾パーツを溶着させ、ゆっくりと冷ましてから、うねる波や魚を彫刻しています。器体の下部には、金属酸化物の粉末を混ぜて斑紋を出す技法によって、川底の小石のような模様が施されています。職人の卓越した技術によって、少数のみ制作された作品です。（磯崎）

今週は、似鳥美術館地下1階の「アールヌーヴォー・アールデコ グラスギャラリー」に展示中の作品をご紹介します。 ガレ《菊文花器》 1880～1900年 ウランガラス、金・エナメル彩、カメオ彫 画像が表示されない方はこちら 19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスで活躍した工芸家、エミール・ガレは、日本美術に取材した作品を多く制作しています。本作も、日本の絵画にみられるような大輪の菊がエナメル彩とカメオ彫りによってあらわされ、背景には白や青の斑紋や金によって華やかな装飾が施されています。 器体に用いられているウランガラスは、ごく微量のウランを含み、通常の照明では薄緑色に見えますが、紫外線を当てると蛍光緑色に輝きます。展示室では、通常のライトとブラックライトを交互に点灯させることで、その色彩の変化をご覧いただくことができます。（磯崎）