2017/07/12
第七回 旧三井銀行小樽支店研究会 終了しました!
7月9日(日)、第七回目となりました旧三井銀行小樽支店研究会が無事終了致しました。今回は京都工芸繊維大学の石田潤一郎教授を講師にお迎えして、『曾禰中條事務所と日本の近代建築』というテーマでお話を頂きました。辰野金吾と並び、日本の代表する近代建築家の曾禰達蔵率いる曾禰中條事務所。慶応義塾大学図書館、旧日本郵船神戸支社・大阪支社ビル、明治屋ビル・・・と、日本近代化に伴って、大都市を彩るオフィスビルを次々と設計しました。旧三井銀行小樽支店も、その曾禰中條事務所の設計により建築されています。石田教授は、曾禰達蔵の生い立ちや、旧幕府軍として戦った曾禰がその後どのように建築に携わることになるのか、16歳年下の中條精一郎と一緒に事務所を立ち上げることになる経緯、事務所の作風の変遷等、詳しくお話して下さいました。曾禰中條事務所は、所員の束縛がゆるかったため、多様な作品が生まれているのが特徴で、いろんな建築物の写真を見せながら説明して下さいましたが、確かにバラエティに富んでいて、同じ事務所でもこうも違うのか、とばかりに、それぞれの設計者の個性が出ていました。しかし、どの建築物もその根底には英国的な堅実さがあるところが、一番の美点である、と、石田教授はまとめていらっしゃいました。お話の最後、石田教授が嬉しそうに、旧三井銀行小樽支店の天井を指差しながら、トリビアをひとつ下さいましたので、皆様にも。このように、天井の縁にぐるっと細かな彫刻が施されております。基本的には◎のような模様なのですが、角のところは、草をモチーフにしたような模様になっているのです!!!!すべての角がこのようになっております!!◎だけでは、長さが変になったりしてしまうので、それをカバーするためにこのようなお洒落な彫刻になっているそうです。来る、8月1日には、旧三井銀行小樽支店が一般公開されます。是非、生でこの天井の彫刻をご覧になってみて下さいませ。細かいところまでこだわっており、設計者、職人の技術と矜持を感じます。すごいです、美は細部に宿りますね。次回の研究会ですが、8月はお休みを頂きまして、9月の開催です。詳細が決まりましたらこちらでお知らせいたしますので、楽しみにお待ち下さいませ。